食品安全の基礎~衛生管理~
一口に食品安全と言っても、内容は細分され、専門分野も多岐に渡ります。
その中でも基礎中の基礎、食品製造現場における衛生については、最も大事な部分です。
5S活動
食品衛生について語る上で欠かせないのがこの「5S活動」です。
5つの頭文字のアルファベットからつけられたこの名前ですが、内容は
- 整理(Seiri)
- 整頓(Seiton)
- 清掃(Seisou)
- 清潔(Seiketsu)
- 躾(習慣化)(Shitsuke(Shuukanka))
になります。
実はこれ、単に語呂だけでなく、きちんとこの順番にも意味があります。
整理
よく、小さいころに親や先生から「散らかしたらちゃんと元に戻しなさい!」と言われてきました。
元に戻すことを整理整頓、と教えられてきたのではないでしょうか。
言葉尻だけを捉えると、必要なものと不要なものを分けること、が整理の定義になります。
親や先生の言う整理するという内容は、散らかしたものの中から必要なものと不要なものとを分けなさい、ということになります。
つまり、整理整頓の整理とは、要らないものを捨てることになります。
さて、ここで食品での整理を考えると、その食品(製品や料理)を作るのに必要なものは何か、要らないものが同じ部屋、工程、導線にないか、という意味になります。
整頓
上記同様、整理と整頓はつなげて使われることが多いため、整理と意味が混同している人がいます。
整頓とは、きちんと片づけること、整うこと、という意味です。
食品を作る場面では、道具や具材が決まった位置に収められている、必要なものを必要な数、誰でもいつでも取り出せる、ということになります。
つまり、整理した(不要なものを排除した)上で、整頓(定位置の確保)をしなければならないということです。
要不要を決める前に定位置を決めてしまっては意味がありませんので、整理整頓の順番は大事ですね。
清掃
清掃は、皆さんご存じゴミや埃を除去します。
ゴミや埃に食品を腐敗させる、人体に有害な物質を生成する様な微生物が繁殖したり、ゴミそのものが食品に付着し、異物となることもあります。
そういった、食品に害となる要因を除くことを意味します。
清掃の仕方とかは製造する食品によって様々な方法があり、また別の話となりますので、ここでは言葉の概念がわかれば問題ありません。
清潔
この言葉自体は行為ではありませんが、汚れのない、衛生的な状態を保つ、という意味合いで使われます。
清潔感のない場所で作られた食品などは食べたいとは思わないですよね。
また、清潔に保つことで虫の発生や飛来を抑えることもできます。
つまり清潔が清潔を呼ぶ、良い循環になります。
躾(習慣化)
最後に躾、習慣にする、ということです。
上記1~4の整理で不要物を除き必要なものだけにし、整頓で使いやすい場所にしまう、清掃することで清潔を保つ、という習慣を身につける(躾をする)ということです。
ほぼ毎日稼働する工場がほとんどの食品製造においては、常に清潔が保たれていなければ無意味です。
家庭内においても毎日外食するのであれば別ですが、ほぼ毎日台所を使用する家庭がほとんどだと思われます。
これらが5S運動の内容で、食品衛生においてHACCPの土台、これができていなければシステムを組めないものとなります。
食品の原料や調味料、使用する水などの本来食品に入るべきものではないところから、製品の汚染を防ぐためには、常に衛生的な環境を維持できる5S運動が必要となります。
家庭内においても、この5S運動を取り入れればより料理しやすく、気持ちもよくなることでしょう。
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